贈与(相続時精算課税制度)
相続時精算課税制度
この制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め(特別控除額:2,500万)、その贈与者が亡くなった時に、その贈与財産と相続財産とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除するものです。
- 贈与額が2,500万円を超えた分については、20%の税率で一旦贈与税を納税します。
- 贈与者に相続が発生した時に、死亡時の財産と合算をします。
- 合算額から相続税額が算出されます。支払うべき相続税から'1'で支払った納税額を控除できます。
生前贈与は多額な贈与税を支払わなけらばならないので、躊躇していた方もいたことでしょう。この制度により、親が生前に相続財産を子に承継させやすくなりました。
事例
- 贈与者(あげる人)
- 父(68歳)
- 受贈者(もらう人)
- 長男(30歳)
贈与する財産
- 1年目
- 現金1,000万円
- 2年目
- 父名義となっている長男の自宅の土地・贈与税評価額:3,000万円→贈与財産の合計4,000万円
計算例
- 1年目
- 1,000万円 - 1,000万円(※1) = 0円(←贈与税)
- 2年目
- 3,000万円 - 1,500万円(※1) = 1,500万円 1,500万円 × 20%(※2) = 300万円(←贈与税)
(※1)特別控除額
相続時精算課税を選択した場合、2,500万円までの贈与については贈与税がかかりません。
上記例のように、2年に渡って贈与があった場合は、1年目に控除した残額を2年目に控除することができます。超えた額については一律20%(※2)の税率を乗じて算出します。
贈与後父が死亡した場合上記の贈与財産4,000万円は相続財産に加算されます。過去に納付した贈与税300万円については、相続税から差し引かれるので2重課税はありません。
注意事項
相続時精算課税制度を利用できる人
- 贈与者(あげる人)
- 60歳(※3)以上である者
- 受贈者(もらう人)
- 20歳(※3)以上である贈与者の推定相続人および孫(※3年齢は贈与時の1月1日時点)
贈与対象及び回数
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
申告
受贈者は1年間(1月1日~12月31日)に贈与者から受けた財産の総額について、贈与税の申告期間内に相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して税務署に提出する必要があります。相続時精算課税制度を用いた結果、納税がない場合でも提出しなければなりません。
相続時精算課税適用後の注意
受贈者である子それぞれが、贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。専門家にご相談してからの、相続時精算課税の選択をされますようにお勧めします。